青空の神様
でも、今こうやって少年父に会うと。あの時の父の独り言が、とても悲しく思えた。父親がいなかった少年時代、そして自らが父親になり、子育てへの不安と疑問、社会人、夫、父、一家の大黒柱…。どれだけの重圧だろう。あたしには一生分からない事だと思った。父は、あたしのために、たくさんのおもちゃを買い与えてくれた、積み木やブロック、ぬいぐるみ、音の出るサルのおもちゃや、ピカピカライトが光、車のおもちゃ。それから童謡が入った、レコードや絵本。
毎年クリスマスも誕生日も、あたしにはプレゼントがあった。キレイな包装紙に包まれた、それらは、キラキラ輝く宝箱だ。甘いジュースを飲み、食べきれないほど大きなケーキをいつまでも眺めていた。幸せな時間だった。あたしにはそんな幸せな時間が毎年あり、でもすぐに忘れてしまっていた。
あたしは何て自分勝手なんだ。自分に腹が立った。 父はあたしに愛情を注いでくれていたではないか、ただぶっきらぼうで、無口で、不器用な人なのだ。真面目すぎる性格は、一人娘のあたしをちゃんと育てたかっただけで、思い通りにならない、あたしに対してどうしていいか分からなかっただけなのだ。父もまた苦しんでいた。
ごめんね、お父さん。
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