青空の神様
あたしは夜空を見上げながら、星に願った。
「どうか、もう一度だけ、父に合わせてください」 目の前に白い光が溢れていた、それは蛍光灯の明かりで、あたしはベットに寝かされ、息苦しかった。体は元に戻っていて、腕や口には、よくテレビドラマの入院シーンで見るような器具が取り付けられていて、身動きがとれなかった。目をそっと開けると、母の顔が見えた。母は涙を流しながら、あたしの手を両手で握り、震えていた。祖母はその隣のイスに腰掛け、下をうつむいて祈るように両手を合わせていた。
あたしは母に握られている手の薬指を動かした。すると、母は身を乗り出し、あたしの顔を覗きこんだ。 言葉にならない声で、あたしを呼び続ける、祖母もあたしの顔を見て涙を流しながら、「よかったよかった、ななちゃん、ななちゃん」と呼び続けていた。  そこに看護婦の方が来て、先生を呼んで、もう大丈夫だと言い。口に付けられた、器具やらをはずし、あたしは少し自由になった。
「お母さん、お父さんは?」あたしは久しぶりに声を出したので、しゃがれ声になった。でも、母はあたしの声に驚いたのでもなく、何だか、気まずそうな表情になった。
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