青空の神様
無事車に乗ると、これまた焼けるような暑さで、まるでオーブンの中のようだった。クーラーからは、まだ冷たい風は流れておらず、ただただ、タバコの臭いをかき回していて、頭がクラクラして胸やけがするようだった。        「シートベルトしろ。」 今日は機嫌が悪いらしかった、声のトーンは低く、語尾が強めだ。今日は、車が故障してくれればいいのに。神様はまだ、あたしを見つけられないのか。太陽のバカ。         車の中は、過ごしやすい温度になり、高校野球のラジオ中継が流れている、独特のアナウンスが夏を思わせる。今隣で車の運転をしている、この人もかつては、野球少年でピッチャーを努めていたらしい。そのときの写真を見せてくれた事があった。        野球には全く興味がないので、写真にも話にも何の魅力や感動を得ることはなく、息苦しい時間を過ごした事を覚えている。今も、またこのスピーカーから流れてくるラジオに耳を傾ける事はない。あたしの神経は、ほとんどが、この人に吸い取られているのだ。  車を走らせる事、10分。 町で運営している、プールに到着した。駐車場はほぼいっぱいで、手前の一番角に車を止めた。
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