青空の神様
あたし、死んじゃったみたい。          悲しいのかな、ちょっとホッとしてるよ。ずっと恐かったから。毎日、勉強もしたよ、でも、その部屋でも頭を殴られたよ、答え、間違ってたもんね。痛くないよ、恐いだけだよ。   あたしはあたしの体がプワプワ浮いている上で羽はないけど、翔んでるよ。  あの人はプールから出て、タオルの上でサングラスをしながら、仰向けになり、ラジオを聞いているよ。 あたしが死んじゃったせいで、びっくりしちゃったのかな、ごめんね。    あたしプワプワ浮いてる。かわいそうだね。    あたしを発見してくれたのは、若いカップルだった。かわいそうな事に、彼女さんは顔が硬直して、足がもつれていた。「大丈夫ですか?すみません」と声をかけてみたけど、聞こえてないようで、彼女の近くというか、下の方に行く事ができない。飛ぶ事は初めてだし、なかなか方向転換が難しい。行きたい方向に手を伸ばしてみたり、首を突き出してみたけど、微妙に動くだけで、自分の思うように動けない。なんとも、不便というか、はぁ、ため息が出てしまう。まるでハイハイから、つかまり立ちができるようになった赤ちゃんみたいな気分てだ。
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