日々
雅紀と美桜は放課後、
簿記の課外授業に行った里桜を待つ間、
中庭で発声練習をしていた。
雅紀
「さっむッッ!!」
美桜
「う゛ぅ、寒いぃ…」
中庭は風が強く吹いており、
季節が冬の今、当然の如く寒かった。
雅紀
「しゃぁ!!俺、練習始めよっと!『ここは教会――…』」
美桜
「暗くなる前に帰ろっと。寒いし。
母様(はは)が怒るし」
雅紀
「『外に出ました。
空を見上げると…、うわぁ!!』
……この『うわぁ!!』が上手くできない。
もっとこう、迫力が欲しいと言いますか…」
美桜
「『うわぁ!!』に拘らなくても
『うわぁ〜!?』とか『うわっ!!』
とかでもいいじゃん」
雅紀
「そうだよな〜…。よし!
『外に出ました。空を見上げると…、
うわぁ〜!!』……違うな。もう一回」
―――――――
雅紀
「もう一回!」
―――――――
雅紀
「もう一回!」
―――――――
―――――…
美桜
「雅紀の体が揺れてるけど、なんで?」
雅紀
「リズムがあった方が
分かりやすいかと…、はい」
美桜
「ふーん…?」