日々
雅紀
「えっと“want to”が欲しい。
“why”が何故。“if”がもしもだから…、
あれ?これ仮定法なんじゃ…(苦笑)?
てか主語がない」
「仮定法?う〜…ん、英語って難しい」
雅紀
「……すみません;
英語ってあまり得意じゃなくて」
会話をしながらコソッと携帯に
手を伸ばす。
女性は本棚をジッと見つめていた。
「あ、いえ。こちらこそ突然...」
雅紀
「いえ、俺も暇だったし大丈夫ですよ。
…英語を勉強してるんですか?
海外に行く、とか」
「いえ。英語が全く分からないから、
勉強しようかなぐらいの気持ちです」
雅紀
「じゃあ何で
“If want to why?”なんて言葉…」
「あぁ、友達に何て意味かな?
って聞かれて、それで…」
雅紀
「………優しいんですね」
この人はどうもお人好しなようだ。
友達のなんてことない
疑問に対して本屋まで来て、
他人の俺にまで尋ねて調べている。
思わず俺は柔らかく笑っていた。
「そんなことは…。聞かれてすぐに
答えられるくらいに、なりたいだけです」
雅紀
「…英語を勉強したいなら、
辞書と参考書を見て、
書きまくるのが一番いいと思います」
「…ですよね。書くのが一番。
参考書はどんなものを…」
雅紀
「そうですね。
あ、こんなのが良いんじゃないですか?」
「なるほど!…あ、これも良さげですよね?」