日々
雅紀
「“世界一分かる英文法”って…(苦笑)」
「ダメ、ですかね…」
雅紀
「いや、あのっ、あは、は…。
とりあえず、勉強あるのみですよ!!」
「そうですか。ありがとうございます。
私、もう少し考えてみます。
本当にありがとうございました」
雅紀
「“あなたは何故それが欲しいの?”
みたいな意味らしいです。
……勉強頑張ってください」
女性は慌ててメモを―、取り出せず、
俺は苦笑いしながらルーズリーフ一枚と
ペンを差し出す。
メモを終えると、女性は何度もお辞儀をして、
参考書に目を向けたので、
もとの目的だった漫画の新刊を探しに
俺はその場を後にした。
―――――
―――…
「ありがとうございました!!」
本を探していると、
またあの女性が俺の方にお辞儀をしていた。
どうやら帰るようだ。
手には参考書が見える。
「此方こそ!ありがとうございます!!」
俺も笑顔で礼を言った。
本屋で声を上げて言うことは
マナー違反だけど、今日は許して欲しい。
―――『ありがとう』
俺が礼を言わなくていいだろ?
何て思った奴。勘違いするなよ。
俺だって感謝してるんだ。
温かくて優しい一時を俺は貰ったんだから。
Excuse me.
『すみません。あの――――』
たまにはこんな日も、いいよな。
*END*