日々

｢…妊娠させちまった｡
気をつけてたつもりだったけど
妊娠､させちまった｣



父さん､俺に頭を下げた燐は
やつれていた｡


従兄の新之助兄さんが
必死に父さんを宥めていて｡


最終的に新之助兄さんの家に
燐がいたのだと知った｡



｢…生むのか？｣



家出している間にできた子｡



｢……生みたい｡俺も彼女もそう思ってる｣


父さんから
激しい言葉がたくさん飛び出す｡


しかし父さんはその話を
燐が｢ごめんなさい｣と頭を下げるとすぐに
これからの話しに変えていた｡


｢もう過ぎたことに
いちいち言っていてもキリがない｣


らしい｡


ただ
｢お前が俺に迷惑かけたぶん、
後から返せよ｣と言った｡


｢落ち着いたら…｣という燐に
｢勘違いするな｣と父が言う｡