ハッピーマテリアル
「何でも無いって…そんな事ないだろ?」
「ほんと、だから。だから、」
愛生はそう言うと、速足で逃げるように公園を出ようとした。
「愛生…!」
愛生は康祐に後ろから腕を掴まれた。
「放っといてよ…っ」
愛生は掴まれた腕を康祐に引っ張られて、そのまま抱きしめられた。
「愛生、すごく泣きそうな顔してる。放っておける訳ないだろ。」
「…なんで?」
「ん?」
「何で…、康くんは、優しくしてくれるの?」
「愛生の事が大切だから」
「…大切?」
「愛生の事が好きだから」
「す、き?」
愛生は思わず康祐の顔を見上げた。
「そう」
康祐は愛生の目を見つめて言った。