隣の席の俺様ヤンキー【完】
違うよ。嫌じゃない。
彼がどんな顔をしているのか見てしまうのが怖くて、前を向いたままのあたし。
どうしよう……。
このままじゃ勘違いされちゃう。
桐山魁一を嫌なんかじゃないのに。
『明らかに嫌そうだろ』
『だから、嫌じゃないの!!』
勢いに任せて彼に顔を向けながらそう言うと、
『そんなムキになんなよ』と彼は呆れたように言った。
『……――っ』
本当に……嫌いなわけじゃないのに。
ただ、頬がじんじんと痛んで彼のほうを向けなかっただけ。
彼に『嫌い』だって勘違いされて、慌ててしまっただけ。
彼とあたしの関係は多分、知り合い以上友達以下。
楽しそうに話してることなんて一度もないんだから。