隣の席の俺様ヤンキー【完】
ぼんやりと魁一を見つめるあたしの腕を掴むと、魁一はグイッと引っ張った。


「……――キャッ!!」


あまりに突然のことに、身構えることなく魁一の胸に顔をぶつけたあたし。


魁一はあたしの腕からそっと手を離すと、あたしの体に長い腕を回す。



「……っ」


鼻に届いた甘い香水の匂い。


魁一の体温が、匂いが、その全てに心臓が激しく暴れはじめる。


そんなに背が小さい方でないあたしの体を簡単に覆ってしまうくらい大きな魁一。


魁一の体……温かくて気持ちいい。


ドクンドクンと一定のリズムで刻む心臓の音。


あたしは大きな背中に恐る恐る手を回した。
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