隣の席の俺様ヤンキー【完】
ねぇ、魁一。


やっぱり……無理に嫌いにならなくてもいい?


好きでいても……いいのかな?



魁一は腕の力を弱めると、そっとあたしの頬に手を添えた。


頬に感じる温かくて大きな手のぬくもり。


至近距離で目があって、息が止まりそうになる。



やっぱり、嫌いになるなんて無理。


あたし、魁一のことが……――。



「お前はもう俺から逃れられない。覚悟してろよ」


ドS全開、俺様モードの魁一に胸がキュンっと高鳴る。


あたし、Mっ気なんてないはずなのに。


それなのに、不思議。


ドSな魁一の言葉にこんなにも胸を高鳴らせているなんて。


体中が熱くなって、ゴクリと唾を飲み込んだ瞬間、魁一の顔が少しづつ近づいてきた。


少しづつ近づく唇。



「……――んんっ」


魁一によってもたらされたキス。


あたしは目を閉じて、そのキスを受け入れた。
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