隣の席の俺様ヤンキー【完】
「魁一は……今までいろんな女の子とキスをして……それを周りの人に見せつけてたの?」


「ハァ?」


「あたしは……今まで男の子と付き合ったこともないし、キスをしたこともないの」


「それがどうしたんだよ」


何か言いたいことがあるのに、それをわざと遠回しな言葉で伝えようとしている莉奈。


聞き返すと、莉奈はハァと一度大きく息を吐いた後、まっすぐ俺を見つめた。


「ごめんね。あたし、見たこともない魁一の元カノに嫉妬しちゃった」


「嫉妬(しっと)?」


「そう。魁一とあたしじゃない女の子がこうやってベンチに座ってキスしてるのを想像しただけでなんか心の中がモヤモヤしちゃって。そういうの重いよね」


「別に重くねぇよ」


莉奈の言うとおり、こうやってベンチに座って違う女とキスをしたこともある。


もちろん、女と付き合うのだって莉奈が初めてというわけじゃない。


だけど、今まで本気で付き合った女は一人もいない。


遊びだったり、告白されて何となく付き合ったり。


その程度。


自分から「好きだ」と伝えて付き合ったのは、莉奈が初めてだ。
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