隣の席の俺様ヤンキー【完】
「ちょっ……、ちょっと冷静になって考えて?」
下手に出てそう聞くと、桐山魁一はムッとした表情を浮かべた。
「俺が興奮してるって言いたいのかよ」
「そういうんじゃなくて!!」
「じゃあ、何なんだよ」
「だって、付き合ってる振りをするってことは、周りから桐山君があたしと付き合ってるって思われちゃうってことだよ!?」
「そうだな」
「そうだな……って。ていうか、あたしと付き合った振りしても、桐山君には何にも得がないよ?」
だって、そうでしょ?
あたしと桐山魁一が付き合っているふりをしても、彼には何の得もない。
むしろ、マイナスでしかないんじゃ……。
あたしみたいな平凡な女と、校内で知る人はいないくらいの有名人である彼。
あたしたちが付き合うなんて、誰にも想像できないはず。
不思議になって聞き返すと、桐山魁一は呆れたような表情であたしを見下ろした。