隣の席の俺様ヤンキー【完】
「……うっ……超……カンドーだった。うぅ……、ヤバい、涙がとまんない」


「いい加減泣き止めよ」


「だってっ……、最後に会えたんだよ!?奇跡的すぎて……ダメ、思い出してまた涙が……――」


映画館を出て外に出ると、あたりはすっかり暗くなっていた。


映画のラスト15分での怒涛の展開で、涙腺が崩壊してしまったあたし。


泣くのを抑えようと思えば思うほどに、とめどなく涙が溢れだす。


「ったく、しょうがねぇ奴」


魁一は呆れたようにそう言うと、あたしの涙を指で拭ってくれた。


「……――っ」


自分の心臓の音がやけに大きく感じて。


魁一と目を合わせることができない。


視線を足元に下げると、魁一はあたしの左手をそっと掴んだ。


手のひらを伝わって魁一の熱が全身にじんわりと広がっていくみたい。


心地よくてすごく気持ちがいい。


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