隣の席の俺様ヤンキー【完】
「ねぇ、魁一……?」


「あ?」


「本当は……恋愛ものの映画なんて……見たくなかったでしょ?」


恐る恐るそう尋ねると、魁一はあっけらかんとこう答えた。


「まぁな。一人だったら絶対に観ない」


「……そうだよね。なんか付き合わせちゃったみたいで……ごめんね?」


「別に。ただ……――」


「ただ、何?」


「お前以外の女とだったら、絶対に見にいかねぇけどな」


真っ直ぐ前を向きながらぶっきらぼうに言い放つ魁一。


その横顔があまりにもかっこよくて。


胸がキュンっと高鳴る。


ねぇ、魁一。


ちょっぴり自惚れちゃってもいいのかな?


あたし……今、世界一の幸せ者かも。



嬉しくてニヤけそうになるのを必死でこらえて、繋いでいる手にギュッと力を込める。


すると、魁一はチラッと手を確認した後、黙って握り返してくれた。
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