隣の席の俺様ヤンキー【完】
さっきまでの軽い足取りとは違い、屋上へ向かう足取りが重たくなる。


頭の中にはさっきの白鳥さんの言葉がグルグルと回っている。


魁一が無理やりキスするなんてそんなこと絶対にありえない。


分かっていても何故か胸騒ぎがする。


「ハァ……」


一度大きく深呼吸してから屋上の扉を開けると、地面に寝転んでいる魁一が目に入った。


一歩一歩と近付く距離。


一瞬。本当に一瞬だけど、魁一が屋上にいないことを願ってしまう自分がいた。


そうすれば、白鳥さんの話が嘘だって100パーセント信じられたから。


そんなことを考えている自分がたまらなく嫌になる。


魁一を信じているはずなのに、心のどこかで疑ってしまっていた……。



「……――魁一、寝てるの……?」


魁一の隣にそっと座りこんで顔を覗き込む。
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