隣の席の俺様ヤンキー【完】
……――屋上で、魁一に無理矢理キスされた日。


ファーストキスを魁一に奪われて、涙ながらに裏庭にやってくるとそこには宮崎君がいた。


『どうした?何かあった……?』


涙を流しながら歩くあたしを見て驚く宮崎君に心配そうに尋ねた。


『ううん、何でもない……』


ずっと大好きだった魁一とキスできて嬉しいはずなのに、溢れ続ける涙。


魁一への気持ちをずっと胸の奥底に秘めて鍵をかけていたのに、魁一はその鍵を一方的に開けてしまった。


キスをしたからといって、魁一があたしを好きになってくれるわけがない。


一方通行の恋。永遠の片思い。


そう考えると、涙が溢れて止まらず、嗚咽交じりに泣き続けた。


そんな時、宮崎君があたしの手を掴んでグッと引っ張った。


『……――きゃっ!!』


その拍子にあたしは宮崎君の胸に顔を思いっきりぶつけて。


宮崎君はあたしの体をギュッと抱きしめた。
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