隣の席の俺様ヤンキー【完】
あの日、莉奈が宮崎とキスしている現場を見た瞬間、今まで感じたことのないような感情がこみ上げてきた。


今すぐ二人を引き離して、宮崎を殴りつけたい衝動に駆られて。


キスくらいなんてことのない行為だと思っていた。


だからこそ、白鳥とのキスは俺にとって『事故』でしかなくて、莉奈にもそう話した。


でも、いざ莉奈と宮崎がキスしているところを見ると、事故という言葉では割り切れなくて。


『……――今のも事故だから気にしないでよ』


宮崎にそう言われた瞬間、俺はそれを否定できなかった。


そして、ちっぽけなプライドを守る為に、あの場に莉奈を残して立ち去ったんだ。



『ごめんな』


そう一言謝ればいい。


頭の中では分かっているのに、変に意地を張ってしまう。



『偽りの恋人』


宮崎に俺たちの始まりを話したであろう莉奈に苛立つ気持ちもある。
< 266 / 384 >

この作品をシェア

pagetop