隣の席の俺様ヤンキー【完】
キケンな着衣水泳【莉奈side】
【莉奈side】
「……――水難事故は想像以上に多い。ということで、今日は着衣水泳を通して……――」
水の怖さについて真剣に説明している体育の先生。
ぼんやりとその話を聞くあたしの頭に、先生の話は何一つ入ってこない。
真夏に上下冬用のジャージを着ているせいかも。
なんだか頭がガンガンと痛んで、体がずっしりと重たい。
「着衣水泳なんて、小学生以来じゃない?莉奈も小学校の時やった?」
先生に気付かれないようにこそっと話しかけてきた絢子。
あたしは小さく頷いた。
「……うん」
「あれ?莉奈、どうしたの?具合でも悪い?」
「ううん、暑くてぼんやりしてるだけ。でも、このジャージを脱げば治ると思う」
「そっか。あんまり無理しないようにね?」
「分かった。ありがとう」
絢子に心配をかけないように、笑いながらそう答えて再び先生の話に耳を傾ける。