隣の席の俺様ヤンキー【完】
何だか急に気まずくなって視線を下げると、


「もうしないから、安心して?」


宮崎君はそう言ってスッとパイプ椅子から立ち上がった。



「目が覚めるまでって自分の中で決めてたから、もう行くね?」


「え?」


「このまま一緒いると、また七瀬さんにキスしちゃいそうだから」


その時、柔らかい笑みを浮かべた宮崎君の髪が濡れているのに気が付いた。


着衣水泳をしたから……?


それとも……――。


「宮崎君が……あたしを助けてくれたの?」


白鳥さんに突き飛ばされてプールに落ちたあたしを助けてくれたのは、宮崎君だったの?


力強い手であたしの腕を掴んでプールから引き上げようとしてくれたのは……


宮崎君なの?



「助けるの遅くなってごめん。苦しかっただろ?」


宮崎君は少し困ったような表情を浮かべながら謝った。
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