隣の席の俺様ヤンキー【完】
「あの時は、本当に助かったよ」


「ううん。だけど、あの時……やっぱりすごく痛かったの?」


「えっ?」


「だって宮崎君、泣いてたでしょ?」


「あぁ、そうだったっけ」


宮崎君は困ったように笑うと、再びパイプ椅子に腰かけた。


「もう少しだけ……ここにいていい?」


「うん」


あの時、宮崎君は立ち上がることができなかった。


ううん、違う。立ち上がろうとしなかった。


肩の辺りを手で押さえて、ポツリとこう言ったんだ。


『……――全部、終わった』


そして、宮崎君はその場に座り込んだまま声も出さずに静かに涙をながした。
< 286 / 384 >

この作品をシェア

pagetop