隣の席の俺様ヤンキー【完】
「ったく。しょうがねぇな」
しつこいアキラに押し切られて屋上を目指して歩く。
『俺、七瀬さんが好き』
俺を前にしても宮崎はハッキリと自分の気持ちを口にした。
そんな宮崎が裏で白鳥と手を組んで俺達に罠をしかけてこようとしているとは思えない。
宮崎のことは好きではない。
でも、そんな卑怯な真似をする奴だとは到底思えなかった。
それに、あいつには借りがある。
あいつがプールに飛び込んで莉奈を助けてくれなければ、大事になっていたかもしれない。
「……――あたしに感謝してよ?」
屋上につづく階段を登っていくと、踊り場から女の声が聞こえた。
アキラは俺に合図を送ると、黙って人差し指を唇に当てて耳を澄ませる。
俺もその場で立ち止り、アキラと同じように声に意識を集中した。