隣の席の俺様ヤンキー【完】
「……――んっ……アッ……」


どこからともなく聞こえる苦しそうな声。


何この声……。


不思議になって辺りを見渡しても誰もいない。



「ねぇ、今……魁一……何か言った?」


「言ってない」


「さっき、声が聞こえたんだけどなぁ……。空耳かな……?」


首を傾げると、何故か魁一は口の端をクイッと持ち上げた。



「聞こえた声ってどんな声?」


「よく聞こえなかったけど……「ん」と「あ」とか?」


「女の声か?」


「……多分。なんか苦しそうだったんだけど……」


「へぇ……。いいもん見せてやるよ。ついてこい」


魁一はフッとわずかな笑みを漏らすと、屋上の隅にある貯水タンクの方に向かって歩き出した。
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