隣の席の俺様ヤンキー【完】
「あと5秒だけ待ってやるよ」


「5秒?」


「あぁ。俺の理性が持つのはあと5秒だ」


魁一は真っ直ぐ前を見据えたままそう言うと、カウントを始めた。


「……5……4……」


その途端、心臓がドクンッと震えた。


もし魁一から離れなければ、恋愛経験の乏しいあたしにもこれから起こることは安易に想像がつく。


初めて付き合ったのも魁一。


ファーストキスも魁一。


男の子と手を繋いだのも、抱きしめられたのも、こうやって抱きついたのも。


魁一はあたしにたくさんの『初めて』をくれた。
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