隣の席の俺様ヤンキー【完】
えっ……。これって……?


一瞬、時が止まったのかと思った。


「……――んんっ!!」


見開いた目に映る魁一のドアップの顔。


柔らかい唇の感触。


ふわりと風にのって鼻をくすぐった、自分のものじゃない香水の甘い匂い。



「付き合ってなくてもキスくらいできるし。つーか、目閉じろよ。色気ねぇな」


唇を離した後、不敵な笑みを浮かべた魁一。


動揺しないようにと自分に言い聞かせても、声が震えてしまう。



「どうして……?どうしてキスなんて……」


生まれて初めてのキス。


初めての感触。


初めての……――。


心臓が自分でセーブできないほどにドキドキと大きな音を立てて鳴り続ける。
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