† of Human~人の怪異
そんなもの、ただの個性ではないだろうか。

そういう少年の考えは、

「ええ、個性ですとも。個性とは、誰ひとり同じものを持ちえない。が、君には私と同じ個性がある。

君には、小名木和幸であり、私でもあるというラベルが、しっかり貼ってあるんですからな。いやはや、愉快愉快」

自分と同じ根源である豪語する一ツ橋によって、小難しく論破されたのだった。

もう、事実を理解するしか道は残っていなかったし、許されなかった。

もっとも、あれこれと悩む以前に、残念ながら自然と彼らの言うことを理解している自分がいたのだから、なおのことタチが悪い。

本質だの†だの、ふざけるなと思った――のは結局その一夜だけで、翌朝には、すっかり理解、達観してしまっている自分は、どうやら筋金入りだと納得し、諦めた。

そしてもう、その納得と諦めから一ヶ月が過ぎるのである。

時の流れとは、すさまじい。
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