† of Human~人の怪異
「どうかな? 僕の話、聞いてもらえる? 実は大木駅で最近、妙なことが起こってるらしくて、その情報なんだけどね」

この申し出に、上野楓は若干眉をしかめる。

桜庭はあの一件以来、オカルト現象に凝り始めたと言っても過言ではない。

その耳にした逐一を、上野に報告するようになった。

そしてひいては、その現象の抑圧にも乗り出しているらしい。

傲慢者らしい、見事なでしゃばり方だと思う。

上野楓は、しかしそんな彼の行動が気に入らないらしい。

「桜庭くん、アナタは教会関係者ではないんですよ?」

「わかってるよ。だから君に言いにきたんじゃないか」

「だったら、」

カキーン、と草野球の清々しい音がしたのと、上野のポケットでケータイが鳴ったのは、奇しくもほぼ同時だった。

桜庭への対処をやめて、上野がケータイに出る。

和幸程度の観察眼でもわかることだが、彼女は教会任務用と、プライベート。ふたつのケータイを持っている。

今耳に当てた、飾り気もまったくないシルバーのケータイは、教会任務用である。
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