† of Human~人の怪異
(なにか飛び出した……か)
と、自分で思っておきながら、和幸は笑った。
『なにか』ではない。自分は、なにが起こったのか、知っている。
なにせ、崩落している校舎の騒ぎの中枢は、自分達のいた教室であり――
飛び出していったなにかはほかでもない、あのクラス委員長なのである。
巻き起こった、あまりに様々なことが濃縮された数瞬を思いだし、
「は、は、はは……」
とりあえず、和幸は笑った。
悲しみを覚えるには、体験したことが大きすぎた。
怒りを覚えるには、自分の存在が小さすぎた。
だから、笑うしかない。
そんな和幸を――唯一の生き残りとなった少年を、気が狂ったものと見て、野次馬が気味悪そうに見た。
と、自分で思っておきながら、和幸は笑った。
『なにか』ではない。自分は、なにが起こったのか、知っている。
なにせ、崩落している校舎の騒ぎの中枢は、自分達のいた教室であり――
飛び出していったなにかはほかでもない、あのクラス委員長なのである。
巻き起こった、あまりに様々なことが濃縮された数瞬を思いだし、
「は、は、はは……」
とりあえず、和幸は笑った。
悲しみを覚えるには、体験したことが大きすぎた。
怒りを覚えるには、自分の存在が小さすぎた。
だから、笑うしかない。
そんな和幸を――唯一の生き残りとなった少年を、気が狂ったものと見て、野次馬が気味悪そうに見た。