† of Human~人の怪異
和幸には、『謎の教室爆発』として見られている事件の唯一の生き残り――瓦礫の中から助け出された幸運な少年という肩書きがついている。

そんなものさえ、だからなんだというのか。

生きていることはたしかに……幸運だ。驚きだ。

あれを見て、今もまだ記憶を留めて『生』というものに立っている自分が、少し信じられないほど、幸運で、驚きだ。

が、そんなものなどやはり、あれを見た自分からすれば――失笑で塗り潰されてしまう。

自分は生きている……なによりも幸運な出来事が、しかし見事に圧砕されるほどの時間を、彼は見たのだ。



と、俯けていた和幸の視界に、

「や、きみきみ。気分はどうかな?」

誰かの足と革靴、そして気配が、踏み込んできた。

失笑した表情のまま面をあげると、そこには外人が立っていた。

金髪に、青い瞳をメガネで隠した、優男。

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