† of Human~人の怪異
「うんざりしてるとは思うけどね、事件当初の状況を教えてもらえるかな?」

うんざりしている――のは、当然だ。

助け出されてから、救助隊はもちろん、周囲を制限している警察にまで、なにがあったなにがあったと質問され続けたのだ。執務はもちろん、興味もあってだ。

ただもっとも、その質問にはずっと、『よく覚えてません』としか答えなかった。

思えば自分は、ことの発端の中枢にいて、唯一の生き残り。

自分以外に、話を聞く者がいないのはわかる。

が、それでも怒濤の勢いで同じ質問を繰り返されるのは、まさにうんざりしていた。

加えれば、『よく覚えてません』と答えたあとの、相手の落胆の表情も、うんざりだ。
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