† of Human~人の怪異
(――いや、俺ひとりじゃないさ)

と、そこで和幸はまた、失笑した。

生き残ったのは、そう、実は自分だけではない。もう二人いる。

ひとりは、四時間四十四分四十四秒も貧乏ゆすりを続けていた委員長。

そしてもうひとりは、なぜか激しく苛立っていた、図書委員の女の子。

ただ――両者とも『こと』の発端と同時に――教室の天井を崩壊させた直後に、姿をくらました。どこかへ飛び出していった。

和幸はなんとはなしに、崩落した校舎の右上を見る。

自分達の教室があった場所は今、化け物に殴り飛ばされたように、跡形もなく歪んで、無惨。
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