† of Human~人の怪異
――と、自分の見たものを不器用に説明し終わった、『今』だった。

『現場』にいてそれを見ていても、今こうして頭の整理をつけながら話してみてようやく理解したのである。

それほどの出来事をいきなり話して、この刑事二人が『事実』として飲み込めるとは、思えなかった。

しかし、少年の予想は当たらない。

「ふうん。そっか」

アルという刑事の反応は、ひどくあっけらかんとしていた。

『事故』に遭った時に頭をぶつけ、文字通り『イカれた高校生の夢物語』かもしれない話を、真っ向から彼は受け止めている。

ニコニコ、ニコニコとした顔が、心の底から、こう言ってきた。

「話してくれて、ありがとね。おかげでいろいろわかったよ」

「え? はあ、まあ、別に……」

彼の、あまりに普通な態度に、和幸はどう反応していいかわからない。

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