† of Human~人の怪異
自分は今、普通なら耳を疑われることを、話した。

自分は、委員長が腕から蛇を生やすところから、図書委員が剣を振り回しところまで、すべて見ている。

すべて見ていて、『今』ようやく、理解が追い付いた。

なのに目の前の刑事は、話を聞いただけで、信じている。

(いや、信じてんのか、本当に……?)

という疑問は、

「ちょっとアルさん、なに真に受けてるんですか、こんな話」

こそこそと耳打ちした内村という刑事の言葉で、払拭された。

どうやら、彼の相棒はまっとうな頭を持ってくれているらしい。

理解することが正しいはずなのに、理解していない内村のほうがまっとうに見える。

自分の体験したものは、それほど異常だったのかと、和幸は失笑を隠せない。

アル刑事が言う。

「なんだい内村、君、彼の話わからなかった?」

そしてぺしぺしと、もっている警察手帳で、内村のひたいを叩いた。

内村の黒ぶちメガネがずれるのを笑う。
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