† of Human~人の怪異
繰り返される確認に、和幸はひとつの確信を得ていた。

この男は、自分の話を、完全に信じている。

いや、それ以上。

むしろ、自分よりもあそこで起こった出来事について、詳しいなにかを掴んでいる気さえした。

「あの」

だから、訊かずにはいられない。

「俺が見たもん、なんだったんすか?」

クラスメイトを丸飲みにし、校舎を破壊していった『事実』はいったい、なんだったのかと。

アル刑事は、

「うん? 答えは簡単だよ」

実に親切な笑顔で教えてくれた。

「腕から蛇を生やした化け物と、どこからともなく剣を引っ張り出した正義の味方。たったそれだけだよ」

と、まったくもって、求めているものとは遠い答えを。
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