† of Human~人の怪異
桜庭は苦い表情で、自分の腕を見た。

度重なる再生を繰り返し、それでも不調を来さない体。

その事実を認識できたのは、つまり度重なる斬撃を食らってしまったということ。

「――っくしょう、忌々しい!」

喜ばしいことも、小さな小さな石に躓かせられては、まったくおもしろくない。

「くそ……!」

彼女は、自分になんと言った?

凶行をやめろと言った。

しかし、なにが凶行だろうか。

自分は、人間の境界線を踏破したのだ、だからこその力だ。

それを振るっただけで、なにが凶行だろうか。

「くそっ、くそ……!」

上野楓から逃げ切るまでに三十回。三十回も腕を斬り落とされた。

そのため、再生した腕もよくよく見れば、無数のつぎはぎだらけだ。

粛正という言葉のもと、執拗に付きまとってきた上野楓。

十本の飛び回る不思議な剣を持った図書委員。

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