† of Human~人の怪異
「聞くよ。アンタの話」
「よかった。私、潔い男の子は好きですよ」
微笑んだ上野の柔らかな物腰に、一瞬顔が赤くなったかもしれないのは、余談である。
上野楓は、図書室で培われただろう背筋を素晴らしく伸ばした正座のまま、言った。
「まずはっきりと伝えておきますね。小名木くんは今、危険な領域に踏み込んでいます。だから、私の話は真剣に聞いてください」
言葉が、踏み込んでいたという過去形ではなく、踏み込んでいるという現在形であることに、和幸は一瞬、震えた。
「質問は、あとから百でも二百でも受け付けます。先に私の話を聞いてください」
「わかった」
と、相づちを打つ必要はあっただろうか……上野楓は、さして少年と目も合わせず、淡々飄々と、事務的な調で告げる。
「私は教会の粛正機関に所属している、第十七番使徒です。今回こちらへは、粛正現場に居合わせた小名木和幸氏へ諸事情の説明、および事態の収拾協力を請うために参りました」
「う、上野さん……?」
「よかった。私、潔い男の子は好きですよ」
微笑んだ上野の柔らかな物腰に、一瞬顔が赤くなったかもしれないのは、余談である。
上野楓は、図書室で培われただろう背筋を素晴らしく伸ばした正座のまま、言った。
「まずはっきりと伝えておきますね。小名木くんは今、危険な領域に踏み込んでいます。だから、私の話は真剣に聞いてください」
言葉が、踏み込んでいたという過去形ではなく、踏み込んでいるという現在形であることに、和幸は一瞬、震えた。
「質問は、あとから百でも二百でも受け付けます。先に私の話を聞いてください」
「わかった」
と、相づちを打つ必要はあっただろうか……上野楓は、さして少年と目も合わせず、淡々飄々と、事務的な調で告げる。
「私は教会の粛正機関に所属している、第十七番使徒です。今回こちらへは、粛正現場に居合わせた小名木和幸氏へ諸事情の説明、および事態の収拾協力を請うために参りました」
「う、上野さん……?」