† of Human~人の怪異
急な言葉遣いの変化に、顔の筋肉が硬直する和幸である。

圧倒されたとも言えるし、妙な意味で肩透かしを食らった気さえした。

その反応を、上野は軽く笑う。まるで、保育士が園児を見守るように。

「堅い口調のほうが、緊張感が出るでしょう?」

思いのほか、おとなしそうに見える人物が茶目っ気に溢れているというのは、よくある。

上野はどうやら、その類いであるらしい。

「簡単に言うと、アナタが見たものの説明、それから今後のことについて、私の所属しているところから通達をお届けに来たというわけです」

と、言葉を普段の調子に戻して、彼女は続ける。

「とりあえず、小名木くんの理解力を考え、最初に要点を言うと」

(その理解力って……かなり低く見られてそうだな)

「今日、アナタが見た桜庭紅蓮は、人間を超越しました」

「……超越って……いや、意味がよく」

「質問はあとから」

ぴしゃりと、言葉と視線で遮られて、和幸は黙る。
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