† of Human~人の怪異
和幸は素直にうなずき、黙することで、上野に先を促した。

「あらゆる生物は、本質に触れれば飲み込まれてしまいます。本質というのは各次元において、あらゆる存在の根本となった定義です。

この本質自体も†と言いますし、本質に触れてしまった状態も、†と呼びます。

私が所属している教会とは、この†になった存在を粛正する機関の総元締めです」

「な、なるほど……」

実はほとんど、ほとんどわからないが、相づちだけは打っておく。

上野楓は本をよく読むせいか、言い回しが小難しく、理解が大変である。

和幸も、精一杯だった。
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