† of Human~人の怪異
「†に達した存在は、己の本質に飲み込まれ、それを実行するだけの装置になります。今日、桜庭紅蓮がこれに触れてしまいました。彼の本質はあの姿からいくらか予測はつきますが……

問題は覚醒した力のほうじゃありません。†と化したそのあとが、肝心なんです。

本来、教会が呼ぶ†とは、存在が本質に接触した状態のことを差しますけど、教会はそのすべてを粛正しているわけじゃないんです。

そもそも†を許さないのは、存在を創造した神です。神は、存在の設計図たる核を作りました。あ、この核も†と呼ばれますよ。

存在が根源へと帰依するのは、死と似通ってます。それに己の根源へ達することは、秘められた可能性を開花させることにもなり、それが必ずしも悪いことに繋がるわけでもないです。

事実、†へ達した人間が過去、様々な偉業を果たしてもいます。英雄や豪傑、歴史に名を馳せる人達ですね。

そのため、教会としては覚醒した†のすべてを粛正するわけにはいかなくなりました。従って、†となった存在の中でも、条約から外れたもののみを粛正対象としています」
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