† of Human~人の怪異
「条約……」
あの時、上野が桜庭に言っていたことを思い出す。
教会の条約に違反――
「そう、条約です。教会はある一定の許容段階を設け、これに違反した覚醒者を粛正しています。大まかに言えば、過ぎた行為を阻止するんです。
化け物がいるからって、生存活動にまではとやかく言いません。始末に終えない悪さをしたものだけを、粛正するんです。
桜庭くんの行動は、この条約から大きく外れていました。だから私は」
「教会の条約に違反してるって、言ってたのか」
「はい。私、理解の速い男の子は好きですよ、小名木くん」
直球の言葉を照れなく発する上野に、また和幸が戸惑ったのは余談。
「この条約から違反した存在を、私達教会の粛正機関はその組織力、特殊性を駆使して排除――言葉を選ばなければ、殺しています」
「コロ……」
息を詰まらせる少年に、しかし少女は容赦ない。
「いまさら、瞠目されても」
もっとも和幸には、ドーモクという単語の意味がわからなかった。
ただニュアンスだけは、理解できていた。
あの時、上野が桜庭に言っていたことを思い出す。
教会の条約に違反――
「そう、条約です。教会はある一定の許容段階を設け、これに違反した覚醒者を粛正しています。大まかに言えば、過ぎた行為を阻止するんです。
化け物がいるからって、生存活動にまではとやかく言いません。始末に終えない悪さをしたものだけを、粛正するんです。
桜庭くんの行動は、この条約から大きく外れていました。だから私は」
「教会の条約に違反してるって、言ってたのか」
「はい。私、理解の速い男の子は好きですよ、小名木くん」
直球の言葉を照れなく発する上野に、また和幸が戸惑ったのは余談。
「この条約から違反した存在を、私達教会の粛正機関はその組織力、特殊性を駆使して排除――言葉を選ばなければ、殺しています」
「コロ……」
息を詰まらせる少年に、しかし少女は容赦ない。
「いまさら、瞠目されても」
もっとも和幸には、ドーモクという単語の意味がわからなかった。
ただニュアンスだけは、理解できていた。