† of Ｈuman～人の怪異

午前四時というのは、現代においてあまりにも微妙な時間である。

テレビの放送は大半が終了し、空は靄がかかった黒であり、早起きの人間が行動するにも、まだ少し早い。

おそらく、無生物の世界に最も近い。和幸は、そう考えている。

もっとも、そう思っているところに原付が通りすがると、なんとも苦笑に見舞われる。

和幸は、これからなにが待ち受けているのかしりながら、はは、と肩を震わせた。

大木市は、巨大なドーナツのようなものである。

中央の穴が中心街と呼ばれ、最もにぎわう。

その周囲を円形におおうのが住宅街、さらにその外周が、旧繁華街と呼ばれている。

和幸のアパートがあるのは、この住宅街、南区である。

中心街北にある大木高校とは、ほぼ正反対の方角になる。

そして和幸が向かったのはそこ、大木高校である。