† of Human~人の怪異
ズ、ドドドドドドドドン!

と、鈍い音が八つ、響いた。

同時に、桜庭の蛇が、地べたへ縫いつけられている。

桜庭の体も、一気に地へ落ちた。

閃光も軌跡も一瞬で落下してきたそれ――黒い、剣による、見事な磔刑。

大蛇が頭を顎を、首を胴を標本のように釘打たれ、グラウンドでのたうつ。

その様子を桜庭は苦々しげに見、次いで、空を仰いだ。

「そこにいるのかっ、上野さん!!」

返答は、

「粛正!」

「!?」

二刀を構えた少女の斬撃と、ともに。

上空から降臨した少女、その左右に握られた剣で一撃ずつ、桜庭の大蛇が、胴の半ばから華麗に断罪される。

ザン、という、いっそ小気味のいい音。

「うあああああ!?」

あの教室を彷彿とさせる、桜庭の雄叫びが響いた。

首を失った大蛇が、短くなった胴をばたばたと暴れさせる。

切断された胴から、その暴動に合わせて血潮が溢れ飛ぶ。

地べたに縫い付けられていた首が、腐敗音をあげて溶け出し、血溜まりを生む。

大木高校グラウンドはまさしく、あの現場のように深紅に染まりつつあった。
< 75 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop