† of Human~人の怪異
上野も、和幸にとっては長い付き合いではない。が、同じクラスになって二ヶ月、その間に養ったイメージというものがあって、両者ともそのイメージから大きく踏み外れていくのである。

日常から、少しずれた出来事。はなはだ、和幸にとってそれは小さな一大事だった。

いや、クラスにとっても小さな一大事だろう。

有能な委員長、純朴な図書委員双方、授業では華麗な先駆者となる頭脳の持ち主である。

その二人が普段の様子と違うのだから、クラスはおろか、授業を進行する教師までも、異質で、やりにくい空気を感じていた。



それは、窓の外を小鳥が通り過ぎた時だったか――

あるいは時計の分針がかちりと音をあげた時だったか――

はたまた誰かが、落とした消ゴムを拾おうとした時だったか――
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