† of Human~人の怪異
「こ、んのぉぉおおお! 何度も何度もぉっ!!」

クラスメイトのように安易に飲み込むことのできない上野楓に、桜庭は苛立っているのが、よくわかる。

和幸は、絶対にだれにも聞こえない声で、

「小せぇヤツだなぁ」

とぼやいた。

跳躍の頂点に達した桜庭が、身を捻り、地へと面を向ける。

すれ違った上野はすでに地へ背を向け、くろがねを連ねた翼で、浮遊していた。

その翼から、

「射ろ!!」

五つの断罪が、投擲される。

それは、蛇の再生をしている最中だった桜庭の両腕両足、胴を串刺しにした。

「っ、がっ!?」

はらわたから逆流した血が吹き出されたようだったが、さすがに和幸もそこまで夜目は利かない。あくまで推測だった。

「上野、ざ、ん……!!」

血が喉に絡んでいるのか、桜庭の声が濁っている。

言葉の濁りは意識の濁り、意識の濁りは姿勢をも崩す。

異形の超越者は、無残にも落下した。

「〝十剣翼〟!!」

そこへ、上野楓は容赦も慈悲もない。

さらに四本が、撃ち下ろされる。
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