† of Human~人の怪異
ズ、ドドドン!
開戦前に聞いた地鳴りが、繰り返された。
もうもう巻き上がる砂埃は、儚い月光に照らされ、白い。
その白さの中、血ぬられた蛇を引き連れる桜庭は、立ち姿からしてすでに、ボロ雑巾のように見えた。
彼の体は、蛇もろとも、地面に縫い付けられている。
立ち姿といっても、それは、両膝をついた、懺悔の姿勢にすら見えた。
九本の剣によって串刺しにされる姿は、あまりに痛々しく、宗教的なものさえ感じさせる。
謀反者へ対する、見せしめのような構図だった。
和幸は、桜庭の在り様に、溜め息を漏らす。
どこが、超越者だろうかと。
むしろ、綺麗に頭だけは攻撃していない上野楓に、称賛を送りたくなった。
ひゅごーぅ、ひゅごーぅ、という、猛獣が追い詰められたような、荒んだ吐息が聞こえる。
「僕、はっ、……ぁっ、ご……」
晴れゆく砂煙の中、十頭を再生させる桜庭が、また血反吐を出した。
グラウンドの湿った砂に、液体ではない、半端に凝固している物体が転がる。
開戦前に聞いた地鳴りが、繰り返された。
もうもう巻き上がる砂埃は、儚い月光に照らされ、白い。
その白さの中、血ぬられた蛇を引き連れる桜庭は、立ち姿からしてすでに、ボロ雑巾のように見えた。
彼の体は、蛇もろとも、地面に縫い付けられている。
立ち姿といっても、それは、両膝をついた、懺悔の姿勢にすら見えた。
九本の剣によって串刺しにされる姿は、あまりに痛々しく、宗教的なものさえ感じさせる。
謀反者へ対する、見せしめのような構図だった。
和幸は、桜庭の在り様に、溜め息を漏らす。
どこが、超越者だろうかと。
むしろ、綺麗に頭だけは攻撃していない上野楓に、称賛を送りたくなった。
ひゅごーぅ、ひゅごーぅ、という、猛獣が追い詰められたような、荒んだ吐息が聞こえる。
「僕、はっ、……ぁっ、ご……」
晴れゆく砂煙の中、十頭を再生させる桜庭が、また血反吐を出した。
グラウンドの湿った砂に、液体ではない、半端に凝固している物体が転がる。