† of Human~人の怪異
小名木和幸が、桜庭の本質――傲慢を、丸め込んでいる。

対立者を、ひいてはそれを聞く自分まで圧倒する、なにかで。

(いったい、これはどういう……)

話術とでもいうのか。

それとも、小名木和幸が本質に、†に至っているのか。

あるいは桜庭の精神が限界に来ているのか。

自分の理解しえないなにかが起こっているのか。

わからない。

わからないのに、

「上野さん、少しおとなしく、頭ン中空っぽにしてろよ。なんか、あれこれ後ろで考えられると鬱陶しいから」

「っ――」

小名木和幸に、なにもかも見透かされる。

透視?

読心術?

悟り?

いったい、なにを根拠に小名木和幸は言っているのか。

なにをヒントに、そこまで言い当てるのか。

わからない。

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