† of Human~人の怪異
そんな自分を差し置いて、小名木和幸は桜庭へ言う。

「桜庭さぁ、もうわかってんだろ? お前は上野さんには勝てない。どうしたって勝てない、無理だ無理」

「っ」

「相性っつーか経験つーか、見ててお前が勝てる見込みはないって、ド素人でもわかる。お前がどんだけその不細工な蛇を再生させてもさ、上野さんに届いてねぇじゃん。無意味だな。

そんな無意味を繰り返すのが、お前の言う超越者かよ。笑うぜ? カッコわりぃ」

怒濤のような、言葉の襲撃。

「お前さ、自分のこと認めてもらいたいんだろ? 違うの? 僕が僕がうっせーから、俺はそう思うけどなぁ。まあわかんねぇけど、お前見てっとマジでイライラすんだよ。もっと頭イーやり方あんじゃん? お前だったら、そーいう方法いろいろ思いつくだろ?

それをわざわざ、力だけに頼ってバカみてーに。僕が僕がって言って。

お前がやりたかったのは、そういうことなのかよ? 俺にはなんか違うとしか思えないな。やんだったら効率的に、つーか確実性持ってやれよ。とりあえず――」

そして、彼の右手が、持ち上がる。
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