† of Human~人の怪異
「別に、なんも考えてねえよ」

と、間を置いて答える。

本当に、特別なにも考えていない。うそはない。

ところが上野は、怪訝な瞳をレンズの向こうで光らせる。

「本当ですか?」

「うそついてなんになるよ」

「……」

「ほんとだって」

「なら、いいんです」

「そ」

桜庭との一件はその後、すべて教会が処理した。

自分は大した内容を知らされていないし、桜庭は今も普通に生活を送っている。

和幸としては、桜庭はどこかへ監禁されるものとばかり思っていたが、違うらしい。

人を食らう行為は、凶行と見られない限り、存在定義として許されるらしい。

いわゆる、三大欲求に含まれるものは、許可する。

被害者には理不尽な話だが、教会とは、そういうものだった。

いったいなにが変わったのかと上野に訊けば、問題がなくなったことです、と答えられた。

受け取り方に、困った。
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