HAPPY CLOVER 3-夏休みの魔物-
「アイツ、昔から成績はいいのにわがままで依存心が強くて、手に負えないタイプ。かまわないほうがいい」
清水くんが私の顔を見て、そう言った。
――……ん!?
さっき一瞬だけユウが気の毒に見えたのだが、そんな感傷は彼の一言で霧散し、間違って石を噛んでしまったような違和感が私の中に充満する。
そして、頭の中で何かがブツッと切れた。
「かまわないほうがいい? かまってるのは清水くんじゃない?」
言ってから、自分のセリフに驚いた。清水くんも目を見開いて私を凝視する。
「だいたい数学をやりたいとか言ってたのは何? 医学部? はぁ? 私、初耳ですけどっ!」
――え、ちょっと待って、私。どうしたんだ。
困ったことに止まらない。
「それに、私と諒一兄ちゃんのことをあれこれ言うけど、ご自分はどうなんですか!? 言い寄ってくる女の人みんなにいい顔して……」
土曜ということもあり、人がごった返すショッピングモールのど真ん中で、私は清水くんを責め立てていた。
「結局、女好きなんだ!」
――あっちゃー! ついに言っちゃった……。
――いやいや、あースッキリした! ていうか、これくらい言ってやらないとこの男にはわかんないのよ、女心なんて!
過度の興奮状態で心の中は達成感と後悔がぐちゃぐちゃに混ざり合い、呼吸も荒くなっていた。
そこへ背後からポンポンと優しく誰かが私の肩を叩く。
――ん? あれ、清水くんは前にいるし、誰が……?
目の前にいる清水くんは私の背後に視線を移し、更に仰天した表情になっている。
肩で息をしながら、おそるおそる首を後ろに回す。
「舞? こんなところで勇ましく仁王立ちして、何してるの?」
――ひ、ひゃーーーっ!
「しかも『女好き』とか大声で叫んでるし。恥ずかしいわよ」
――ま、ま、ま……
「ママ、どうしてここに!?」
情けないことに声が掠れる。
私の後ろには、いつもより濃い目のメイクで嫌味なほどニヤニヤと笑う母の姿があった。
清水くんが私の顔を見て、そう言った。
――……ん!?
さっき一瞬だけユウが気の毒に見えたのだが、そんな感傷は彼の一言で霧散し、間違って石を噛んでしまったような違和感が私の中に充満する。
そして、頭の中で何かがブツッと切れた。
「かまわないほうがいい? かまってるのは清水くんじゃない?」
言ってから、自分のセリフに驚いた。清水くんも目を見開いて私を凝視する。
「だいたい数学をやりたいとか言ってたのは何? 医学部? はぁ? 私、初耳ですけどっ!」
――え、ちょっと待って、私。どうしたんだ。
困ったことに止まらない。
「それに、私と諒一兄ちゃんのことをあれこれ言うけど、ご自分はどうなんですか!? 言い寄ってくる女の人みんなにいい顔して……」
土曜ということもあり、人がごった返すショッピングモールのど真ん中で、私は清水くんを責め立てていた。
「結局、女好きなんだ!」
――あっちゃー! ついに言っちゃった……。
――いやいや、あースッキリした! ていうか、これくらい言ってやらないとこの男にはわかんないのよ、女心なんて!
過度の興奮状態で心の中は達成感と後悔がぐちゃぐちゃに混ざり合い、呼吸も荒くなっていた。
そこへ背後からポンポンと優しく誰かが私の肩を叩く。
――ん? あれ、清水くんは前にいるし、誰が……?
目の前にいる清水くんは私の背後に視線を移し、更に仰天した表情になっている。
肩で息をしながら、おそるおそる首を後ろに回す。
「舞? こんなところで勇ましく仁王立ちして、何してるの?」
――ひ、ひゃーーーっ!
「しかも『女好き』とか大声で叫んでるし。恥ずかしいわよ」
――ま、ま、ま……
「ママ、どうしてここに!?」
情けないことに声が掠れる。
私の後ろには、いつもより濃い目のメイクで嫌味なほどニヤニヤと笑う母の姿があった。